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研究って何なのか。

研究って何?

 研究と言われると実験の結果、ips 細胞が見つかりましたとか光よりも早い新しい物質が見つかりました、癌の特効薬が見つかりましたなどがイメージされやすいと思います。しかし研究の意味は「物事を学問的に深く考え、調べ、明らかにすること。また単に、調べること。」です。物事を学問的に考える。これが研究にとってかなり重要です。最近チラホラと耳にすることも増えてきているエビデンスってものです。エビデンスとは証拠・根拠、証言、形跡などを意味する言葉です。「私が学校に行ってたころは・・・」は何の証拠や根拠にもなりません。教育の世界にはエビデンスというものが圧倒的に不足しています。実際に現場で働いている時にエビデンスという言葉を耳にしたことはありませんでした。つまり教育では効果があるかどうか確かめられていないものがどんどん導入されているということになります。実験されて副作用など様々なテストを経てようやく認可される薬と比べてあまりにも雑です。むしろ教育は本来どんな効果があるのかを検証していき導入されるべきものなはずです。

教育は実験ではないは正しい?

 教育は実験ではない、もっと言うと子どもを実験に使うなんてありえないといった声があります。しかし完璧なものが最初から用意されることはあるんでしょうか。実験という言葉がついていないだけで全国でいろんな実践が行われています。効果があるだろうという考えのもとで。これは実験ではないんでしょうか。同じ学校、同じ学年、同じ教科、同じ単元でも授業のやり方が違うってことは日常的に起きています。もちろん全てを統一するべきだと言うつもりはないです。病院だって医者によって治療方針が異なることがあります。しかし医者の診断には確固たる裏付けとなる実験データがあります。さらに不安に感じた患者のためにセカンドオピニオンという制度があります。教育はどうでしょう。各先生方の授業に裏付けに経験値以外があるでしょうか。指導してくれる先輩方の裏付けに研究データはあるでしょうか。もちろんしっかりとしたデータをもとに授業されている人もたくさんいます。しかしそれは義務付けられていないし必要とはされていません。医者の診断や処方される薬で実験で積み重ねられたものがなくても不安はないでしょうか。教育では様々な実践が紹介されています。多くの実践の本も出版されています。そこには実験や根拠が示されていることは少ないです。

教育にエビデンスを

 教職大学院の授業ではグループで調べて来て発表する時間や個人で調べて発表する時間の中でエビデンスを示すことが最初から求められます。根拠のないただの自分だけの経験則で語る教育に対して疑問を投げかけられます。現場で働いている教員でもその時に気づく人は多いと思います。現場に出た時、戻った時に大学院で学んだエビデンスをもとにした教育活動というものを大切にしていきたいと思います。その意識が緩やかに広がっていくためにこれからもエビデンスを意識していきたいと思います。